1 小屋組み

伏図の書き方の順序として、上から下に書いていきます。
土台伏図や2階の床伏図から書いていく人がいますが、手戻りが発生しますので、お勧めできません。
鉛直荷重の流れを考えれば、上から検討していくのが自然です。

 

平屋建ての建物としては、屋根荷重を梁が受け、そして柱に流れていきます。
ここではまず、小屋組みの詳細から見てみます。

 

小屋組みの詳細
まず、小屋組みから検討します。小屋組み詳細を下図に書きました。

 

小屋組み 詳細図01

001-07 小屋組み 詳細図 01

 

各伏図を書く前にいろいろ細かいところを理解しておきましょう。

 

小屋組み詳細は、一般的な寸法や間隔にしてあります。

 

垂木(たるき)
垂木には、一般的に、垂木・ケラバ垂木・際垂木(キワダルキ)があります。
垂木は屋根材・屋根下地材(野地板・広小舞・登り等)を支える屋根の下地材です。
ケラバ垂木は切妻の一番端の垂木をいいます。ここだけ少し成を大きくし眉欠を施したりする場合があります。
際垂木は妻壁の見切りにする垂木です。

 

以下、寸法等を示します。

 

1 垂木
・垂木の間隔は454.5(1.5尺)が一般的です。
 化粧で間隔を狭めて配置する場合もあります。

 

・垂木の幅は45、成は軒の出の1/10が目安になります。最小寸法は45×45が一般的です。
 母屋の間隔が最小3尺とすると、垂木の45×45が最小寸法と考えていいでしょう。

 

・垂木の成が90以上ですと、母屋間隔を3尺から6尺までに変更ができます。ただし一般的でありません。
 切妻の妻壁部分で母屋が見えてきますが、きれいに3尺間隔で配置できない場合など、3尺以上に変更する場合があります。

 

・垂木をつなぐ場合は、母屋上でつなぎ、位置は千鳥配置とします。流れ下側を接続部の下側にします。
 今では、上棟時には足場がありますが、昔は有りませんでした。当時、大工さんが垂木の先端に乗って先端を切りそろえていた事を思い出します。流れ下側の材を接続部の下側にして取り付けます。釘などを取付忘れで外れたときに先端に荷重がかかっていても、上材が抑えていてくれます。

 

・和風住宅で軒先を現わし仕上げですので、材料決定時は指定が必要です。
 住宅の屋根は少し目線が離れますが、下屋や門などでは、軒裏が間近で確認できます。材料の木目には注意しましょう。

 

2 ケラバ垂木
・ケラバ垂木は、他の垂木と違い3面全化粧(全長すべてで化粧)になります。
 通常の垂木よりは一本物で取りたい材料です。

 

・ケラバ垂木の配置(この図では「い通り、」「わ通り」からの位置)は瓦割りより決定します。

 

3 妻壁の際垂木
・際垂木の配置の方法を選択
 妻壁の仕上げを軒裏の仕上げ材で見切るのか、垂木状の材料を配置するのか(図3-1)、垂木そのものをずらすのか(図3-2)決定します。

 

・図3-1の場合は、管理人の場合は壁見切りの小口を短い面戸板で隠していました。

 

母屋(もや)・棟木(むなぎ)
・母屋の一般的な寸法は、90角です。配置間隔は909(3尺)が一般的です。
 母屋の接続は、小屋束の左右で千鳥で接続するか、束を一本分話して接続します。妻壁より3尺出位でしたら90角の寸法で十分でしょう。

 

・棟木も母屋と同寸法です。妻壁から出てきますので寸法を少し大きくする場合もあります。
 棟木と母屋の違いは、垂木と接する部分の削り方です。棟木は勾配なりに全部削ります。母屋は垂木と接する部分のみ削り取ります。この部分を特に「口脇を取る」といいます。

 

小屋束
・小屋束の寸法は、母屋と同寸です。(90角)
 屋根が大屋根等で特に大きくなる場合は「二の小屋(区や束を柱として梁を架ける方法)」を作る場合があります。その場合は太くする場合(柱同等)があります。

 

・小屋筋交いで、同じ通りの小屋束を絡めるため、同一通りでの配置が一般的です。(母屋伏図参照)

 

・ケラバ面の小屋束は外側を合わせるため、芯ズレさせて配置します。(母屋伏図参照、001-07-01の図2も参照)
 芯ズレさせない場合は小屋束外面にパッキンを取り付けて面を合わせる必要があります。

 

・棟木の束は、棟束ともいいますが、小屋束と同寸・同材が一般的です。

 

 

小屋筋交い等
小屋組み内でのその他の材料は、小屋筋交い・桁筋交い(雲筋交い)、振れ止めがあります。
・小屋筋交い 材は壁に使用する貫材と同寸・同材です。棟木から桁に向かって各小屋束を固めます。
・桁行筋交い 棟木の筋交いです。両面の互い違いに打ち付けます。材料は貫材と同寸・同材です。
・振れ止め 棟木の足元をずれないように固める材料です。この材料は間柱と同寸・同材です。

 

桁行:桁方向をいう。切妻の場合、棟の方向になります。標準図だと横方向です。これに対して「梁間」、「梁間方向」という言葉がありますが、これは桁行の垂直方向をいいます。イメージ的には「桁を渡して、その上に桁と垂直方向に梁を架ける」と創造すればいいでしょう。

 

その他
・桁レベル 軒レベル、地回りなど呼び方はそれぞれあると思います。基本となる高さの基準レベルです。
 桁レベルとは別に、峠という考え方があります。これは大工さんが桁と垂木の接合部を出すための考え方と思われます。昔の材料は今と違って、通りが良くなく(直線でない)、垂木の口脇を決めるたまには、このような「基準線」が必要だったと思われます。
 下図の図1-2のミズの寸法は大工さんによって違います。
 2階建てで1階の屋根と2階の窓が近い場合などは考慮する必要があります。

 

・広小舞 垂木の先に取り付ける垂木の横方向の固定材及び瓦枕の台になる材料です。通常は台形ですが、木材業者や瓦業者によって違いがあると思います。化粧材になります。

 

・登り 広小舞のケラバ垂木版です。袖瓦の位置決めの材料となります。こちらも化粧材です。

 

これらの図を下記に示します。

 

小屋組み 詳細図02

001-08 小屋組み 詳細図 02

2 垂木割り

瓦葺きの場合、瓦割が必要になります。

 

屋根を横から見た場合、瓦の線が折れ曲がって見える場合がありますが、その屋根は瓦を調整して葺いている屋根になります。
特に屋根が大きくなれば、余計に目立ちます。

 

ここでは瓦を調整して葺くことなく垂木の間隔を配置してみましょう。

 

なお、垂木の配置が換わるのは際垂木からケラバ垂木までで、妻壁間の垂木の配置は変えません。

 

瓦割り・ケラバ出寸法

001-09 瓦割り・ケラバ出寸法

 

瓦の場合、左袖瓦、平瓦、右袖瓦があります。瓦の規格により、それぞれ寸法に違いがありますので、瓦業者と打ち合わせてください。

 

ここでは、「日本の屋根瓦(坪井利弘 著) 理工学社」の 瓦の葺き方・納め方 の寸法を参考にさせていただきました。

 

 左袖瓦のきき幅 220
 右袖瓦のきき幅 290
 平瓦のきき幅   255

 

瓦割の考え方は、以下のようになります。

 

1 まず、現在(仮に決めたケラバの寸歩)から、瓦の全幅寸法を出す。
  瓦の全幅 = ケラバ垂木間寸法+ケラバ垂木の幅+ケラバ垂木から袖瓦までの寸法

 

2 求めた全長より、左袖瓦と右袖瓦の寸法を引き、平瓦のきき幅で割る

 

3 2で求めた数値を整数にまとめる。

 

4 新たな全幅寸法を出す。
  新瓦幅の寸法 = 左袖瓦+右袖瓦+平瓦×3の整数

 

5 全幅寸法より、ケラバ垂木までの寸法をだす。
  ケラバ垂木までの寸法 = ((新全幅寸法-建物幅)×1/2)-垂木幅×1/2-袖瓦までの寸法

 

6 ケラバの垂木配置を決定する。
  5の寸法が、標準図だと「い通り」、または「わ通り」からケラバ垂木までの寸法です。際垂木の配置方法を決定しその間で垂木の配置寸法を決める。

 

 

実際に、寸法を出しましょう。

 

1 瓦の全幅 = 建物幅(10908)+ケラバ寸法(909)×2+垂木の幅(1/2×2)+袖瓦の出(60×2) = 12891

 

2、3 平瓦の枚数 = (瓦の全幅-左袖瓦きき幅-右袖瓦)/平瓦のきき幅 = (12891-220-290)/255=48.6→48枚

 

4 新全幅寸法 = 左袖瓦きき幅(220)+右袖瓦きき幅(290)+平瓦きき幅(255)×枚数(48) = 12750

 

5 ケラバ垂木までの寸法 = (新全幅寸法-建物幅)/2-垂木幅×1/2-袖瓦の出寸法
  = (12750-10908)/2-22.5-60
  = 838.5
6 ケラバ部分の垂木配置寸法 838.5 を 838 として
  =838/2 = 419
  (通り芯「い通り」から等分とした場)

 

ここまでは、幅方向です。

 

流れ方向は、平瓦の桟瓦のきき幅寸法の整数倍になります。

 

桁下がり(母屋下がりともいう)で、軒の出が設計者によって指定されていても、瓦のきき足幅の整数倍での寸法となります。

3 垂木伏図

垂木の伏図を掲載します。

 

垂木伏図は独立で書かれることはあまりありません。

 

通常は小屋伏図に、母屋と一緒に一部分が書かれている場合が多いです。

 

垂木伏図

001-10 垂木伏図

 

垂木の伏図を専用で書くなら、垂木の接続部分や、化粧部分、際垂木部分なども記入します。

4 母屋伏図

母屋伏図を記載します。

 

母屋伏図も、専用伏図として書かれることはあまりありません。

 

小屋束、小屋筋交い、雲行筋交い、振れ止め、接続部分、化粧部分などを記入しましょう。

 

母屋伏図

001-11 母屋伏図