伏図の考え方

伏図の考え方を記述するが、ここまでの作業で次のことが決まっていることを前提とします。

 

1 平面図、立面図のラフスケッチがある
 平面図は間仕切りが決定、柱は仮決定している程度でよい。立面図もスケッチ程度でもよい。
 小屋裏等で使用する場所(小屋裏収納など)があるなら、場所を特定しておきたい。
 2階床や小屋組みで高さの変化がある場合は高さ関係を示す断面図がほしい。
 屋根は屋根葺材・勾配は決定しておいたほうが良い。
 伏図を描いて構造上の不備があれば、平面図、立面図ともに修正していくとする。

 

2 筋交いの配置は決まっていなくてもよい
 筋交いの位置や大きさなどは決まっていなくても、これから位置を決定する。

 

3 敷地と建物の関係が分かる配置図がある
 上棟時に配置するレッカー車によって、材料を組み立て始める位置が違ってくることがある。

 

4 構造体に、仕上げとして見せる部分があるか
 屋根廻りの仕上げ、外壁廻りの仕上げ、吹き抜け廻りの仕上げなど構造体を仕上げ材の一部として見せる場所があれば指定をしておく。
 床柱やポーチ柱などで力がかかってもいい柱があるかは決めておく。
 ポーチ柱などは上棟時は力がかけられないが、その後に固定する柱であれば荷をかけてもいい柱としておく。

 

このほか、材料関係等がありますが、伏図を書く手順内で説明をしていきます。

 

1 開口部の設定・構造柱以外の柱の検討

開口部設定構造柱以外の柱検討

001-03 開口部の設定・構造柱以外の柱の検討

 

平面図から、外壁、内部間仕切り、柱位置、開口部位置を書きだします。

 

外壁廻り・内部間仕切りで、柱-柱間を太線で示している部分は筋交い等で耐震壁にできる壁を示しています。
壁途中に窓がある壁は細線で示してあり、耐力壁にはできない壁です。浴室・洗面脱衣・玄関・廊下の外壁部分がそれにあたります。同じように内部の間仕切りで、洗面脱衣入口・LDK入口も細線で示しています。

 

構造用柱(鉛直荷重をかけてもよい柱、荷持ち柱という)は×印を付けました。この中で考慮しなければいけない柱が2本あります。それはポーチ柱・床柱です。

 

ポーチ柱の検討
和風住宅ですとポーチ柱は、杉磨き丸太の使用が一般的です。この平面図ではポーチ柱の上に桁が掛かり荷持ち柱になっています。
ポーチ柱は、まず荷持ち柱にできるか、もし荷持ち柱にできるのであれば上棟時に柱を立てることが出来るかが検討内容になります。
荷持ち柱にできるかの判断は、主に太さが関係します。
管理人の場合、一般の構造柱の寸法と同じ寸法の直径であれば荷持ち柱として使用していました。
例えば105角の柱を使っていれば、105φ(末口)の化粧丸太を使用していました。
また、荷持ち柱にする場合、もう一つ注意することがあります。
それは最低限のこととしてホゾ加工をして固定できるかです。本来なら柱脚部分はボルト等で固定したほうがいいのですが、納まり的になかなか難しいのが現状です。
また変木などを使用するなら荷持ち柱には、しないほう良いでしょう。

 

ポーチ柱を荷持ち柱として使用できる場合、いつ建てることが出来るかを検討します。
ポーチ柱用束石を基礎製作時に取り付け、ポーチ柱を現場で刻み加工をするなら上棟時には建てることが出来るでしょう。
ポーチ柱用の束石に自然石を使用したい場合は、束石の形状に合わせて柱小口をひかって刻みをしないと、束石と柱がピッタリ納まりませんので、大工さんの力量にかかっています。
ポーチ柱の束石に既製品を使用する場合は、この限りではありませんが、本格的な和風仕様にしたい場合でしたら、自然石を使うべきです。

 

ポーチ柱を上棟後に取り付ける場合は、上棟時に桁下に仮柱(母屋・大引くらいの寸面の柱材)を立てます。
ポーチ柱を立てるまではズレ等に注意し、仮筋等で固定をしておきます。

 

後から取り付ける方法は、まずポーチ柱を桁から吊って、束石を下から持ち上げるようにくさび等で固定し、コンクリートで固めるなどが一般的です。

 

ポーチ柱に使用する杉磨き丸太は10年位から傷みが目立つようになります。施主様にはよく説明をしなければなりません。
取り換えの方法も一度考えたことがありますが、ディテールの検討に未消化部分があり当時は満足できませんでした。

 

今回の平面図では、ポーチ柱は荷持ちにして上棟後に施工する事として話を進めます。

 

床柱の検討
床柱もポーチ柱と同じで、上棟時に荷持ち柱として使用できるかが検討の内容です。
床柱の材質や大きさなど、ポーチ柱より選択肢が多く、迷う部分でもあります。
管理人は、杉や檜材の化粧管柱を床柱として使用する時や、唐木(紫檀・黒檀・鉄刀木など)を使用する場合などは荷持ち柱にしていました。
杉の天然絞りの床柱など高価な材料は上棟時に打ち傷等を付けたくないので、上棟後の取り付けの方がいいかもしれません。

 

今回の平面図では、床柱は荷持ち柱としては使用しない事として話を進めます。

 

唐木:唐木(からき、とうぼく)は、紫檀(シタン)、黒檀(コクタン、Ebony)、白檀(ビャクダン)、花梨(カリン)、鉄刀木(タガヤサン)など、熱帯地方から日本への輸入銘木全般の総称。もと中国を経て輸入したことから「唐木」という。ウィキペディアより

2 筋交い位置の検討

筋交いの検討01

001-04 筋交い位置の検討 01

 

現在の筋交い等の耐力壁の位置を、001-03の図面に記載します。ここでは、解りやすく台形の太線で示しました。

 

記入した後、耐力壁の位置を検討します。

 

伏図では梁の架け方が重要ですが、その梁と耐力壁の位置関係も重要です。ここでは耐力壁の位置から梁の位置や架け方を検討していきますが、その前に建物全体を見渡し耐力壁の配置に問題がないかを検討します。

 

横方向の検討
まず横方向(東西方向)の「一通り」から検討します。
この通りは、現状ではキッチン前の壁に3尺2つ分しかありません(一 い~ぬ、一 を~わ)。位置的にも左(西側)にあります。
玄関・洗面脱衣に窓がありますが、窓の片方に柱がないため、耐力壁になっていません。
そこでこの2つの壁に柱を入れて耐力壁とします(一 ろ~は、一 へ~と)。
キッチンに耐力壁を設置する場合、換気扇ダクトの位置に注意してください。
ここでは「一 り~ぬ」ですが、ダクトの大きさや高さによっては筋交いなどに干渉します。
詳細図を書いて検討しましょう。

 

次に「三通り」を検討します。
ここの通りは浴室の廊下側の壁に耐力壁があります。
予備として洗面脱衣の壁に柱を配置して、耐力壁として使用できるようにします(三 へ~と)。
(ここでは耐力壁の計算は扱いません)

 

次は「5通り」ですが、ここは和室側の壁は真壁の壁としています。
和室8帖の押入壁(五 ほ~へ)、和室4.5帖の押入壁(五 と~り)については、耐力計算で足りないなどの場合はここを大壁として増量できるように考えます。

 

横方向の最後は「九通り」です。
この通りはすべて耐力壁として使用の予定です。和室廻りは真壁、LDKは大壁仕様です。

 

縦方向の検討
まず、「い通り」です。
現状では、和室8帖の壁で真壁の壁しかありません。LDK側と比較すると少ないのが一目でわかります。
廊下の壁の窓横に柱を入れて大壁の耐力壁とします(い 三~四)。

 

次に「に通り」です。
玄関と浴室の間の壁が耐力壁です。これはこのまま使用します。

 

次に「へ通り」です
現状は、床の間の奥の壁(へ 七~九)のみですが、この通りには耐力壁がまだ入る余地があるので、壁を増設します。
まず、押入の奥を大壁に変更します(へ 五~七)。
これは、床の間奥の壁と遂にしたいためです。

 

浴室入り口横に壁場ありますが、現状は柱がありません。
柱を追加して耐力壁を作ります(へ 一~三))。
浴室はユニットバスの予定ですが、ユニットバスの入口位置と柱(へ-二)が、干渉しないような型番やドアを選んでください。
建物の耐力壁の配置を優先させることが重要です。

 

次は「ち通り」です。
トイレの壁が耐力壁ですが、「り通り」に近いため、もう少し間隔を開けて設置したいですが「へ通り」に耐力壁を増設したので、今回はこの位置での耐力壁の設置を見送ります。

 

次は「り通り」です。
この通りは耐力壁としてすべて使用します。
和室4.5帖の壁は真壁とします。

 

最後に「わ通り」です。
ここの通りもすべて耐力壁として使用します。
ただ、柱の位置を変更する場所があります。
「三通り」、「五通り」に耐力壁があります。この耐力壁を十分に作用させるためには「三 り~わ」に、大梁・小梁の区別なく梁が必要になります。
同じように「五通り」にも必要になります。しかし「五-わ」の位置に柱がありません。
柱がなくても枕梁を使用すればいいのですが、柱を「四-わ」から移動すれば解決するので、ここでは移動させます。
梁はなるべく柱で受け、鉛直荷重を最短で柱に流すようにすべきです。

 

以上の検討により、柱の位置や耐力壁の位置を変更した後の図が下図です。

 

 

筋交いの検討02

001-05 筋交い位置の検討 02 変更検討

 

筋交いの検討03

001-06 筋交い位置の検討 03 最終柱位置

 

 

真壁:和風木造建物、伝統家屋などで荷重を支える管柱が化粧として見える壁をいう。この場合、柱は真壁柱という。
*大壁は柱が見えない壁をいう。