1 伏図の決まり事

伏図のスケッチが出来ましたので、ここから仕口・接手の位置や材料長さなどを考えながら書いていきます。

 

まず、梁材の長さや成を説明します。
梁材は一般的な長さとして、4M、5M、6Mがあります。
6M以上は、かなり特殊な材となりますし、運搬・搬入を考えるとあまりお勧めできません。
(通し柱で7M材を使うことは、まれにあります)

 

また成は、120、150、180、210、240、270、300、330、360があります。
360以上の成も450まで30刻みでありますが、あまり大きな材は強度の点から見ても集成材を使用するほうがいいでしょう。
管理人は330以上の梁で、一次梁りを受けなおかつ上階の柱を受けるなどの場合には、積極的に集成材梁を使用していました。
金額的には高くなりますが、まずは安全・耐震を優先させましょう。

 

梁材は4Mが一般で、大工さんは特に「丈三(じょうさん)」と呼んでいます。
丈は10尺のことで、これと3尺で1丈3尺をとくに丈三と呼んでいます。
柱は3Mが一般的ですが、10尺と言いますが1丈とはいいません。

 

伏図を書くうえでの決まり事
1 梁材で囲まれる最大寸法は6尺四方(1坪) 
2 接手の位置は、耐力壁や火打ち梁を考慮して決める(開口部上での継手が望ましい)
3 接手は少ないほうがよい
4 接手で柱に近いほうが女木(下材)になる 柱より遠い接手は女木にはしない
5 梁を架けていると、知らないあいだに卍に架けることがあるので注意(卍には組めない)
6 一次梁を仕口で受ける二次梁の成は一次梁と同じか大きくする 下側に出る梁小口はみせない
  (桁と梁の場合は仕口により小口が見える場合もある)

 

以上のことを踏まえて伏図を書きますが、2の条件はかなり難しい場合があります。

2 一通り 継手の検討

伏図の書き方06

001-27 伏図の書き方 06

 

伏図のスケッチでの最後の図面をもう一度見てみましょう。

 

このまま清書し、寸法や部材、特記事項などを記入しても一応の伏図としては完成しますが、やはり継手類まで吟味した伏図にしたいものです。

 

継手位置を考慮することでスケッチ図から変化が生じるかもしれません。
では、継手を考慮して完成させましょう。

 

伏図の書き方07

001-28 伏図の書き方 07

 

まず、一通りから検討しましょう。

 

この通りに火打ち梁が入るところが7か所あります。火打ち梁部分は接合部に横からの力を受けるので、そのそばに接手は配置したくありません。
(伏図の書き方 07 上図)

 

継手が可能な部分はちょうど開口部分と重なりました。

 

継手が可能な部分で、継手を配置できる位置を示したのが、「伏図の書き方 07」中図です。

 

「わ-一」から右へ建て方を行うとします。

 

継手は下材(女木)を受けにして、上から下へ上材(男木)を落して組み立てます。
「わ-一」から次の継手の候補は、「を右-一」と「ぬ左-一」の位置になります。
一通りの左から柱・梁を組み立てると、最初の部材の継手は「女木」として接合部の下側に来るようになります。

 

すると、「を-一」の柱より持ち出しての継手位置である、「を右-一」になります。

 

「ぬ左-一」は「ぬ-一」の柱から持ち出すのが「女木」になりますので、「わ-一」から右へ順序良く組み立てができず、「ぬ-一」にかかる桁材から組み立てなければなりません。

 

一通りの最初の部材の継手は、「を右-一」とします。

 

同じように次の継手位置を考えます。
次の継手位置の候補は「ち右-一」、「と左-一」になります。
上記と同じ考えで、持ち出すほうが「女木」になりますので、ここでは「ち右-一」になります。

 

次の継手位置も同じ考えをしますと、「に右-一」になります。

 

材の長さと継手を示したのが「伏図の書き方 07」の下図になります。

 

材の長さを検討してみましょう。

 

「わ-一」から左の長さは861mm、「わ-一」から「を-一」までは3尺ですので、909mm、「を-一」からの持ち出し寸法は、150mm+60mm(持ち出し寸法+腰かけ蟻)になります。
つまり、全長で1980mmになり、2M材で間に合います。

 

持ち出し寸法と腰かけ蟻の寸法は、管理人の経験からの寸法です。プレカット業者や地元の大工職人によって違いがあると思います。打ち合わせ時に確認が必要です。

 

次に「を左-一」から「ち左-一」の材を検討します。
まず「を-一」から「ち-一」までが3636mm(12尺)になります。
「を左-一」からの持ち出し寸法は150mm、「ち左-一」からの寸法は150mm+60mmになります。
全長は、3636-150+150+60=3696mm になります。よって4M材の使用となります。

 

次の材も同じですので、4M材での使用になります。
「に-一」から桁までの材も12尺内になりますので、4M材の使用になります。

 

図面は「伏図の書き方 08」になります。継手位置は三角形で示しました。

 

伏図の書き方08

001-29 伏図の書き方 08

 

3 九通り 継手の検討

伏図の書き方09

001-30 伏図の書き方 09

 

今度は九通りの継手位置を検討します。

 

九通りの継手位置の候補は、火打ち梁との仕口を避けると、左から 「を右-九」、「ぬ左-九」、「と左-九」、「ほ右-九」の場所に限定できます。

 

ここでは、梁スケッチで検討した結果、「に通り」の梁(一次梁)を受けるための梁(二次梁)がすでに配置されていますのでこの梁から検討します。

 

この梁はスケッチ図では「ろ-九」から「ほ-九」の間で架けています。
「ほ-九」の右側にまだ2M分の材があります。
これとの継手は「ろ-九」柱の左右になりますが、火打ち梁との仕口があるので継手はこの部分では避けたいです。
そうすると、「ほ右」または「と左」まで一本物の梁となります。

 

「伏図の書き方 09」の2図が「と左」まで一本物の梁の図、同3図が「ほ右」までと「と左」の2本の梁の図です。

 

2図の梁は7M材を使うようになり、現実的ではありません。
3図は「ほ右」までの梁の材長は5M材で間に合います。

 

よって「ほ」右側の梁は「ほ右」で、台持ち継手でつなぎます。
「ほ右」までの梁の小口は男木になります。よって「ほ右」の下材(女木側)が施工された後に、施工となります。

 

次に「ほ」から左の梁を検討します。
「ほ右」での継手が台持ち継手としましたので、梁成は「ほ右」の梁と同じ成の240とします。

 

「ほ右」の梁は「と左」までと「ぬ左」のどちらかまでの長さとなります。継手を少なくしたいので「ぬ左」での継手とします。
材長は 「ほ-ぬ」間で4.5M+台持ち継手0.5M+ぬ左の持ち出し0.15M=5.15M となり5Mを超えてしまいますが、この材はこれに決定します。

 

「ぬ」から左は、一本で架けます。

 

この継手位置と梁成を変更した梁図が4図になります。

 

これで、「九通り」が書けました。

 

4 わ通り り通り の検討

伏図の書き方10

001-31 伏図の書き方 10

 

この伏図の書き方の検討は、実際に上棟するイメージの順で書いていきます。
そのほうが、後からの直しが少ないと思います。

 

さて「一通り」、「九通り」の梁が架かりました。
土台に柱を立て、その上に梁が乗っている状態ですので、倒れやすいです。ここで仮筋で、仮固定をします。
仮筋は専用の材料ではなく、4M材の間柱や根太掛けなど構造材を使用します。
土台、柱に釘で仮止めし、三角形を作って組み立てた通り、この場合「一通り」と「九通り」を固定します。

 

ここで、「わ通り」、「り通り」を組み立てれば、「一通り」、「九通り」は倒れにくくなります。

 

継手を考えるコツ 材の長さを考える
3尺の長さを1Pとします。1P=1Mと単純化します。
3尺  1P 1M
6尺  2P 2M +片方の持ち出し可能
9尺  3P 3M +片方の持ち出し可能
12尺 4P 4M +両方の持ち出し可能
15尺 5P 5M +両方の持ち出し可能
18尺 6P 6M +両方の持ち出し可能
台持ち継手は梁成の2倍と考えてください。よって1Pの追加となります。

 

では、「わ通り」から継手位置を検討しましょう。

 

「わ通り」の継手位置は、図面上から「二下」、「三下」、「六下」、「八上」が考えられます。
「一通り」から「九通り」までは8Pあり、このスパンでしたら材数は2本で架けたいです。
使用する材を6M材を上限としますと、6P+2P、5P+3P、4P+4Pの組み合わせが考えられます。
外周部はなるべく3P以上の材長を使用したいので、6P+2Pの組み合わせは不可とします。
すると、「二下」、「三下」、「八上」の継手位置は不可になり、残ったのは「六下」になります。

 

「わ通り」は「六下」で決定します。5P+3Pの組み合わせになり、それぞれ5M、3Mの材料の長さになります。

 

次に「り通り」の検討です。
前記の条件ですと、「六下」になりますが、「五」の柱に絡む梁に火打ち梁が四方に入っており、ここでは梁がガッチリ固まっています。
この場合は火打ち梁仕口内部に継手を持ってきても問題ありません。
ですので、この「り通り」は「五上」とします。

 

伏図の書き方11

001-32 伏図の書き方 11

 

「伏図の書き方 11」の図がここまでの伏図です。

 

5 わ通りからり通り間の梁

伏図の書き方12

001-33 伏図の書き方 12

 

「わ通り」、「り通り」に梁が掛かりましたので、この間の大梁や振れ止めを架けます。

 

「わ通り」から「り通り」間の大梁は、それぞれ上から落としながら納めます。
大梁が掛かれば、それに絡む「る通り」の振れ止めを納めます。
最後に火打ち梁を納めます。

 

ここまでが、「伏図の書き方 12」の図になります。

 

6 「へ通り」の検討と、「り通り」から「へ通り」の梁

伏図の書き方12

001-33 伏図の書き方 12

 

同じ、「伏図の書き方 12」の図を使用します。

 

「へ通り」の検討をします。
この通りは「り通り」と同じになります。
違うのは継手の位置です。「り通り」と同じ位置にはせず、ずらして配置しました。

 

「り通り」のを架けましたら、「三」、「五」、「六」通りの梁を架けます。
「三」、「五」、「六」の梁はともに3Pですので3M材一本で架けます。

 

伏図の書き方13

001-34 伏図の書き方 13

 

 

次に、「り通り」から「へ通り」間の梁、振れ止めを、架けていきます。

 

「と通り」の「一」から「六」までは、それぞれ2p、1pの梁を架けていきます。
「六」から「九」までは大梁を架けます。
さらに、大梁の振れ止めを、「八通り」に架けます。(図中、「へ-八」から「り-八」の振れ止め2本)

 

「ち通り」の間仕切り梁を架けます。
最後に火打ち梁を架けます。

 

ここまでが、「伏図の書き方 14」の図になります。

 

伏図の書き方14

001-35 伏図の書き方 14

6 い通り 三通り 五通り の検討

伏図の書き方14

001-35 伏図の書き方 14

 

い通りの検討をします。
前出のように、材料の長さを考慮すると、継手位置は「四上」、「六下」になります。
しかし、「四上」の「三通り」から「四通り」の間には筋交いを配置しますので、不可とします。
したがって継手位置は「六下」になります。

 

「三通り」、「五通り」を検討します。
この二つの通りは、材長5Mになります。ですから一本物で架けます。

 

ここまでが、下図 伏図の書き方 15 になります。

 

伏図の書き方15

001-36 伏図の書き方 15

ろ通り に通り ほ通りの検討

伏図の書き方15

001-36 伏図の書き方 15

 

上の図に、ろ通り、に通り、ほ通りを検討します。

 

ろ通りは、スケッチそのままになります。
「一-三通り」、「三-五通り」までは2M材を上から落して納めます。
「五-九」通りの大梁を上から落として納めます。
梁の成は、240とします。

 

に通りもろ通りと全く同じです。

 

ほ通りを検討します。
ほ通りには、床柱がありますが、ここでは床柱に荷持ち(荷重)をさせていませんので、普通の梁と同じ条件の梁として検討します。
梁の大きさは、他のスパンと同じ240成の梁とします。

 

図面は下記のようになります。

 

伏図の書き方16

001-37 伏図の書き方 16

 

最後にブロック内部に、火打ち梁を入れます。
特記事項や、記載なき部材の寸法を入れれば完成です。

 

伏図の書き方17

001-38 伏図の書き方 17

土台伏図